一般社団法人 慶應ラグビー倶楽部

寄附並びに会費の使途に関して

慶應義塾は小学校から大学院まで、創立者・福澤諭吉の志と理念を継承し、実学の精神に基づき、学業のみならず課外活動においても、一層の向上を目指しています。
1899年、日本初のラグビーチームとして慶應義塾體育會蹴球部は誕生しました。それから現在に至るまで、ルーツ校としての伝統を守りつつ、新たな歴史を刻み続けています。蹴球部は幼稚舎から大学までの一貫校に設置されており、多くの学生・生徒がラグビーに挑戦することができます。
また、普通部と中等部の伝統ある「普中戦」や大学と高校の合同練習、栄養講習会など一貫校ならではの強化プログラムもあり、KEIO RUGBYに関わる全員が日本一を目指し練習に打ち込める環境が整っています。

ご寄附頂く篤志に関しては、下記の使途を想定しております。

1.強化

大学ラグビーの競争は、年々一層厳しいものとなっています。他大学がスポーツ推薦制度やスポーツ特待制度で強化を進める中、蹴球部が大学トップレベルであり続けるためには、部員のポテンシャルを最大限に引き出す指導体制構築と環境整備が不可欠です。優れたラグビーコーチは勿論のこと、体づくりや怪我の予防、緊急時対応の観点から、フィジカル(S&C)コーチ、メディカルトレーナーも必要不可欠な人材です。天候に左右されず部員が練習に打ち込むことができる人工芝グランドや、体づくりのためのウエイトトレーニング場など練習環境を充実させると共に、志が高く将来性豊かな受験生を確保するためのリクルーティング活動や広報活動も進めていきます。

2.国際交流

大学ラグビーでは2018年度から外国人留学生の出場枠が1枠増え、3選手の同時出場が可能となり、以降多くのライバル校がこの枠を最大限活用しています。塾蹴球部でも、慶應義塾で学び、体育会でラグビーにチャレンジしたいという留学生の受験をサポートしていきます。現に2019年よりNZからの留学生2名が入部し活躍をしています。今後もグローバルな視野を持つ人材の育成のために、以前より関係が深いオックスフォード大やケンブリッジ大など海外チームとの親善試合や海外遠征などを検討していきます。

3.産学官連携

蹴球部は、大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)と共同で、チーム力向上を目的とした研究と研究成果の実践への応用を進めています。具体的には、GPS受信機やドローン等の最先端技術を活用したデータに基づく怪我の予防や戦略戦術立案、指導法の確立に向けた取り組みを実施しています。また、大正製薬株式会社と慶應SDM が連携して進めているアスリート向けリカバリープログラムに関する共同研究への協力も行っています。今後も、 蹴球部のノウハウ・ 人材・データ・施設等を活用した産学官の連携を発展させていきます。

4.食環境の充実

アスリート化が進む現代ラグビーの強化には、食環境の充実が欠かせません。蹴球部も食事担当のマネージャーが中心となり、プロチームに引けを取らない栄養管理体制を構築しています。2014年度より、女子栄養大学・上西一弘教授および上西研究室の学生の協力を得て、定期的な栄養講習や栄養分析を実施しています。ラグビー選手は、主食・補食・リカバリー食を含め1日約6000Kcalのエネルギー摂取を必要とします。蹴球部全体では、年間約15㌧のお米を消費。朝食のヨーグルトと納豆で各2万食。補食のバナナ1万本など、強化のために食環境の充実に注力していきます。

5.文武両道

蹴球部は伝統的に、勝利を追求しながら真剣に学業にも取り組む社会の範たる人材を多数輩出してきました。今後も文武両道を体現し、グランド内外で模範となれる学生の育成を目指します。また、実社会で活躍するOB・OGと学生がコミュニケーションする機会を多く作り、交流を活性化させ、通常授業では得られない学びの場も提供していきます。学業でもラグビーでも一流を目指す活動を通し、慶應義塾が目指す「全社会の先導者」たる人材を今後も育成・輩出していきます。

6.一貫教育

慶應義塾の一貫教育という特徴を活かした育成・強化を進めて行きます。大学と高校、高校と中学の合同練習の機会を作り、選手の育成・強化、及び指導者の交流をはかっています。ゴールデンエイジ期である小学生から中学生年代は、成長に応じた的確なフィジカルトレーニング、スキルトレーニングが大切です。専門のスタッフがデータやテクノロジーを活用した最先端のコーチングを提供する体制を構築中です。現状、大学のレギュラー多数が一貫教育校出身者であり、今後もこの強みを活かすべく、指導者・選手同士の交流を深め、慶應独自の選手育成・強化を進めていきます。

7.安全管理の徹底

大学から小学生まで慶應ラグビーにおいては、選手の安全・怪我の予防を第一に考え、日本スポーツ界トップレベルの安全管理体制を整えています。大学と高校では、日本体育協会公認アスレティックトレーナーと学生トレーナーが、内科・脳神経外科専門のチームドクターと連携を取りながら不慮の怪我に備え毎回の練習・試合に帯同しています。万が一の怪我の際は、受傷の初期対応から受診・リハビリ・復帰まで万全のサポートができる体制を整えています。また、日々の健康・疲労状態をチェックするシステムを導入し、日吉キャンパスにある慶應義塾スポーツ医科学センターに協力頂き、3カ月に一回、蹴球部全選手の血液検査を実施するなど、安全に強化を進められているか定期的にチェックしています。更に選手にも怪我の予防の重要性を理解させ、入学後は個別に状態を把握、怪我をしない体づくり、コンタクトの基本スキルを徹底し、大学レベルの試合に十分な準備をさせてから実戦に参加させています。一貫教育校における安全面と体の強化においては慶應高校・志木高校へフィジカル(S&C)コーチ及びメディカルトレーナーを派遣していることで、ベースアップが着実に図れています。今後も、これまで培った知見を活かしつつ、最先端の情報取得、 慶應スポーツ医学研究センターとの更なる連携等、安全・健康管理においても常に日本一を目指し、他チームの模範になるような体制構築を目指していきます。

8.社会貢献・地域貢献

蹴球部は、横浜市港北区と包括連携協定を締結している慶應SDMと共に、地域の小学生を対象にした 「スマートスポーツ授業」を2017年から開催しています。これは、地域の小学生の運動能力の向上とスポーツへの関心を高めることを目的にした取り組みで、例えば、小学校でのタグラグビーの授業をより楽しく、わかりやすくするといったことに取り組んでいます。2019年のラグビーワールドカップ日本大会開催後も、東京オリンピック・パラリンピック、そしてその先を見据え、トレーニングやスポーツデータ活用についての公開講座やシンポジウムも開催しています。また、2019年5月には、慶應SDMと連携して「慶應キッズパフォーマンスアカデミー」を開校しました。地域の子供たちを対象としたマルチスポーツ型の運動教室で、蹴球部が持つノウハウを活かした体と心の成長をサポートするプログラムをラグビーグラウンドで実施しています。今後も日本のスポーツ、ラグビー、教育への貢献を通して、より良い社会、未来を作ることを目指していきます。